図と色で分かる異分母分数たし算_手順3-1

通分の変化が見える「分数たし算」–イメージ式を色で描こう

小学5年生で学ぶ「分母が異なる分数のたし算」で登場する「通分」の手続き。量イメージが不十分な児童は、通分する理由が分からないことが多いです。そこで今回、直観できる量のイメージ式を色で描くワークをご紹介します。

分母と分子が増える「通分」の見える化

おおくの児童が「通分の手続き」で躓くため、通分の手続き指導はよく行なわれます。その児童の中に『通分の分母と分子の数が増えるから、量が大きく変わる』と誤解している児童がいます。しかしその通分の誤解は、見逃されがちです。

今回のワーク指導は、通分のイメージ式を色で描き量イメージの変化を捉えて、「通分で量がふえる」誤解を防ぎます。

色鉛筆で描く通分のあるイメージ式と数式

上にブロック式、下に数式です。

図と色で分かる異分母分数たし算_手順0

これまでのブロック式と異なる点は、薄く分数ブロックの枠線を設け、分数ワクも設けているところです。

ブロック式に色を描く

これまでの【帯分数のたし算】と同じです。赤い色鉛筆で枠線をかき、青い色鉛筆でかきます。

図と色で分かる異分母分数たし算_手順1-1

そして「分数ワク」を表す赤色で分母の数、「分数ブロック」を表す青色で分子の数をかきます。

図と色で分かる異分母分数たし算_手順1-2

これは、赤色で分数ワクを描く→赤色で分母を書く→青色で分数ブロックを描く→青色で分子を書くの順番でも構いません。

「通分された分数ワク」に分数ブロックを描く

次に薄い線を目安に、通分前の分数ブロックをそれぞれ描き入れます。

図と色で分かる異分母分数たし算_手順2-1

「ブロックの大きさは変わっていますか?」と児童に尋ねます。ここで必ず「ブロックの大きさは等しい」ことをよく確認してください。

「通分の分数ワク」を赤で描き、分数を書く

その上で、通分された分数ワクを丁寧に描き込みます。

図と色で分かる異分母分数たし算_手順2-2

細かい部分なので、定規をつかって描くといいでしょう。

図と色で分かる異分母分数たし算_手順2-3

ここでゆっくりとブロック式を眺めます。分数ワクの数を、指(鉛筆で)数えて確認します。さらに分数ブロックも数えて確認します。

図と色で分かる異分母分数たし算_手順2-4

また赤色で分母の数を、青色で分子の数をかきます。ここで児童に尋ねます。

「なぜ、分数ワクの数は増えたのか?ブロックの数は増えたのか?」

もうこの時点で、児童は無意識に直観で理解していますが、その変化に意識を向けて人に言葉で伝えるように促します。このような活動を通して、分数の特徴が深く理解できます。

答の分数ブロックを描き、分数を書く

分数ワクが揃えば、分数ブロックのたし算です。

図と色で分かる異分母分数たし算_手順3-1

この段階までくれば、「分数ワク」は描かずに「分数ブロック」のみを描くだけでいいでしょう。そして続けて分数で書きます。

図と色で分かる異分母分数たし算_手順3-2

鉛筆で描く通分のあるイメージ式と数式

通分による分数ブロックの変化をさっと確認する程度であれば、鉛筆でブロック式に取組んでもいいでしょう。ここは簡単に扱います。

数式を書く

まずブロック式の分数ブロック(分数ワク)をみて、数式を書きます。

図で分かる異分母分数たし算_手順1

ここで量が掴みにくいときは、鉛筆で分数ワクを描き、分数ブロックの中を斜線で塗るといいでしょう。

分数ブロックを描き、分数を書く

分数ブロックの枠線を描きいれます。分数ブロックを見て、数式を書きます。

図で分かる異分母分数たし算_手順2

ここで「分数ブロック」の数、「分数ワク」の数を確認します。もしブロック式の変化にピンときてないようでしたら、ここから色鉛筆で描いてみるといいでしょう。

図で分かる異分母分数たし算_手順3

通分された分数を見て、答を書きます。

最後に

イメージ想起が不得意な児童にとって、今回の通分による「量イメージの変化」を自分で確認することは、分数の仕組みを深く理解することに繋がります。

通分の意味を理解するだけで、算数嫌いの児童が好きに変わっていくこともあります。是非、色鉛筆を用いたワークで、量の世界を深く理解する機会をつくれたらと思います。

返信を残す

必須項目には印がついています*