「はじめに商がたつ位」が分からないーこれは、わり算の筆算を習い始めた小学4年の児童に、よく見受けられる躓きです。今回、その躓きを避ける手続き「商のスタートメダル」をご紹介します。
商たて位置が分からない、とは?
筆算のわり算で商をたてる位置というのは、計算される数によって異なります。
341÷2なら、商は3桁。341÷5なら、商は2桁。筆算において、はじめの商を立てる位置が異なります。そのたてる位置を誤ってしまう。計算を不得意とする一部の児童にとってみられる躓きです。原因は2つです。
- 商をたてる位置の意識が低い
- たてる位置は分かっても記入時にミスをする
これらの躓き原因を解消するために、特別「商のスタートメダル」を使ってみたらいいでしょう。その手順を説明します。
商のスタートメダルのやり方
まずはふつうの2桁÷1桁の筆算です。
方眼は1cmです。はじめはこれぐらい大きい方がいいです。はじめの商の位置がわかる簡単な方法を教えることを伝えた上で、児童にこう話します。
「わられる数(45)がわる数(6)に、どの数のとき勝てるか対決します。わられる数が勝てたらメダルがもらえます。では対決の方法を説明します。」
勝てたらメダルがもらえる!というフレーズに児童は惹き付けられるでしょう。
指で隠して大小を見比べる
まず右手人差し指をつかってわられる数の最上の位(ここでは4)を残し、右の位を隠す
そして児童に尋ねます。
「わる数6はわられる数4より大きいですか?」
「いいえ…4は小さいです」と児童
「ということは、わられる数は負け…仲間を呼びましょう」
わられる数2桁へ
隠している指を右に1マスだけ移動します。すると一の位の5が登場し、わられる数は45となります。
児童に尋ねます。
「負けたので指を右に動かしました。わられる数は45となりました。わられる数45は、わる数6より大きいですか?」
「45だと大きい」と児童
「では45にメダルがもらえます。ただ…」
と引きつけながら話します。
メダル授与(商の位置決定)
「ここでメダルをもらうべき数字は、4と5どちらにしましょうか?」
と児童たちに尋ねます。4だ、5だ…と声があがるでしょう。
こう理屈を付けます。
「助っ人の5が来てくれたから、大きくなれました。だから5にメダルをあげましょう」
そうして5の上に打点が浮かびました。手続きは以上です。
このメダルが、商をたてるスタート地点を表します。これによって、商をたてる位置への意識が高まりミスも減ります。
3桁÷1桁でも同じ
これはわり算の最後の難関である3桁÷2桁でも同じです。簡単に手順をお伝えします。
さっそく、わられる数の一番右の数字だけを残し、あとを隠します。
わられる数1はわる数21より大きいでしょうか?違いますね。指を横に移動します。
わられる数17はわる数21より大きいでしょうか?これも違いますね。さらに指を横に移動します。
わられる数179は21より大きいか?これだと大きいです。
と言うわけで、最後の助っ人である9にメダルをあげます。このように他の筆算でも「商のスタートメダル」は使えます。
最後に
このように次の立てる位置を視覚化することで、手続きの躓きが改善されます。とくに桁が大きいわり算になると、児童たちは最初の立てる位置で戸惑います。
この「商のスタートメダル」を一度覚えてしままえば、自分で解決できるようになりスムーズに計算に取り組めるでしょう。